楽譜の原則

楽譜では、左から右へ、上から下へ音符を読み進めます。

→楽譜における視線の動き
→段の中での視線の動き
→言葉による音楽記号と同じ視線の動き

 楽譜は横書きの日本語などの言語と同じように、左から右の音符へ、上から下の段へと読み進めます。(右から左へ読み進めるアラビア語・ペルシャ語、縦書きで下から上へ読んでいく言語もあります。)
 それぞれの段の中では、上下に音符が並んでいるとき、どのように読み進めるでしょうか。ドミソ、ミドソ、ソドミ、どうやって読んでいくでしょうか。これは人それぞれです。慣れてくると同時に読めるようになっていきますが、楽譜を読む際、段の中では視線の動きは多様にあります。
 また、楽譜には、Allegro、Moderatoなどの速度記号、fff、mPなどの強弱記号、tenuto、staccatoなどの奏法に関する記号、言葉による記号が数多くあります。このことからも、楽譜では、左から右へ読む進めることが、自然な視線の動きとなります。

楽譜は、音楽を紙に表し、演奏法を示します

→音を代理する音楽記号
→演奏者に指示をする音楽記号
→音楽記号の内容を意識して音符を書く

 スコア、ピアノ譜を見ると、音楽の音風景が音楽記号に代えられて見ることが出来ます。パート譜では、音楽の一部が切り取られ、音楽記号に代えられ並んでいることになります。実際に鳴る音、聴き取ることが出来る音が、音楽記号を通して並べられていきます。
 一方、「ラの16分音符をフォルテで吹きなさい。」「ドの4分音符を長さを十分に保って弾きなさい。」というように、楽譜は演奏者に対する指示を音楽記号に代えて表していると考えることもできます。演奏者は、これらの音楽記号を正しく読んで、楽器を弾きこなします。
 音楽記号は、音を代理する記号、また演奏者に対して指示をする記号です。音符を書く時には、鳴っているラを書くのか、演奏者にラの音を弾くように指示するために書いているのか意識してみましょう。今までとは違う書き方になるのではないでしょうか。

楽譜の垂直方向は、音の高さと対応します

→下の方は音が低く、上の方は音が高い
→音の高さを7つの音の名前でしめす
→音の高さをグループで扱う

 物の高低を紙に記すために、高いほうのものは紙の上に、低いほうのものは紙の下に書きます。このような表現と同じように、楽譜では、音の低い音符を楽譜の五線の下の方に記し、音の高い音符を上に方に書いていきます。下に移るにつれて音が低くなっていき、上に移るにつれて音が高くなっていきます。
 また、音の高さは、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ、という7つの音の名前で表します。さらに、それぞれの名前に、#(シャープ)、♭(フラット)という修飾を行い、合計で12の音の高さを表します。
 そして、幅広い音の高さを扱うために、7つの音の名前は、一つのグループとして扱います。ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・・・、とグループを続けていきます。それぞれのグループは、オクターブという概念を用いて具体的な音の高さを示します。

楽譜の水平方向は、時系列と対応します

→左から右へ時間が進む
→音の長さは音符の形で表す
→音の長さと幅は関係ない

 定規は、左に小さな数字、右に大きな数字となるように置きます。左から右へ進むにつれて数字が大きくなっていきます。
 これと同じように、楽譜も左から右へ進むにつれて時間が進んでいることになります。さらに、複数の段があるときは、上から下へ時間が進んでいることになります。
 楽譜に並んでいる音符の水平方向の幅は、音の長さに対応しているでしょうか。2分音符同士の幅は、4分音符同士の幅の2倍になっているでしょうか。必ずしもそうなっているとは限りません。なぜなら、音の長さは、音符の形で表すからです。
 楽譜のレイアウトの都合上、音符同士の幅を伸び縮みさせることがあります。時に、2分音符同士の幅と4分音符同士の幅が等しくなっていることもあります。もちろん、実際は4分音符の方が音の長さが短いです。これは、音の長さを音符の 形 で表す楽譜特有の表現方法です。

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